【知識の差が寿命の差】神経のない歯の寿命を伸ばす！〜“力のコントロール”と“歯髄再生療法”が未来のカギ〜

はじめに：「神経を抜いた歯はいずれ抜ける」は本当か？

こんにちは、歯科医師の会田光一です。

「神経を抜いた歯はいずれ必ずダメになる」と聞いたことはありませんか？
実はこれ、大きな誤解です。

確かに、神経を抜いた歯は健康な歯より割れやすく、寿命が短い傾向があります。
しかし、適切な治療と日々のセルフケア、そして“力”のコントロールを実践すれば、神経を抜いた歯でも長く使い続けることは十分可能です。

さらに最近注目されているのが「歯髄再生療法」。
これは失った神経を“再生”させ、歯の弾力性や血流を回復させる新しい治療法で、神経を抜いた歯の寿命を延ばす大きな可能性を秘めています。

今日は、

• 神経を抜いた歯がダメになる本当の理由
• 長持ちさせるための「力のコントロール」
• 次世代の治療「歯髄再生療法」の可能性

を、わかりやすく解説します。

 

1. 神経を抜いた歯がダメになる本当の理由

神経を抜いた歯が失われる最大の原因は、「歯根破折（歯の根が縦に割れること）」です。
多くの方は「根の先に膿が溜まったから抜歯になった」と思いがちですが、実際には適切な再根管治療をすれば多くの根尖病変は治せます。

問題は、「歯が割れてしまう」こと。
神経を抜くと、歯の内部への血流が途絶え、弾力性がなくなる＝乾燥した薪のような状態になります。
その結果、強い力が加わるとパキッと縦に割れ、治療不可能となるのです。

 

2. 神経を抜いた歯を守るカギは“力のコントロール”

神経を抜いた歯を長持ちさせる一番のポイントは、「かかる力を減らすこと」です

もちろん大前提として、個々の歯にかかる負担を減らすために歯が揃っていることが大事です。もし歯を失ってしまった場合は独立して咬む力を支えられるインプラントで補うことが残っている歯を過剰な力から守るために大事です。
そして、その上で大事になってくるのは「使い方」の問題。
陶器の茶碗も丁寧に扱えば割れませんが、乱暴に使えばすぐに欠けるのと同じです。

ここでは、歯にかかる代表的な「3つの力」と、その対策をお伝えします。

 

① 日中の食いしばり・歯の接触癖

本来、上下の歯は食事中以外は離れているのが正常です。
ところが、ストレスや癖で、無意識に歯を触れさせ続けている人が多いのです。
この“接触癖”だけで、歯は1日何時間分もの過剰な負荷を受けます。

対策：レストポジション（安位）の習慣化

• 舌先を上顎の「スポット」に軽くつけ、上下の歯を離す
• 時計を見るたびに「歯が触れていないか」をチェック
• 午前中だけでも「歯を離す」ことを徹底する

これを繰り返すことで、歯への負担が劇的に減ります。

 

② 食事中の噛み方

硬いものを食べる時、勢いよくガツンと噛む癖がある人は要注意。
実は歯が欠ける瞬間は、「食べ物を噛み切った後の惰性で歯と歯が強くぶつかる時」なんです。

対策：ゆっくり口を閉じるように噛む

• 口を閉じるスピードが半分になれば、歯にかかる力は1/4に減少
• 硬いものを避ける必要はありません。噛み方を変えることが大切。

これにより、歯へのダメージを減らしながら、満腹中枢も刺激され食べ過ぎ防止にもなります。

 

③ 夜間の食いしばり・歯ぎしり

まずは日中・食事中の力のコントロールを整え、その後で夜間対策に取り組みましょう。

対策：認知＋自己暗示療法

• 削れやすい素材のチェック用マウスピースで、歯ぎしりの有無を自覚
• 「歯を離して寝る」と唱えて眠る自己暗示療法
• 必要に応じて専門家の指導を受ける

これらを実践することで、夜間の力も自然に減っていきます。

 

3. 歯髄再生療法という新しい選択肢

ここまでの話は「力のコントロール」でしたが、もう一つ注目すべき新しい技術があります。
それが「歯髄再生療法」です。

歯髄（しずい）とは、歯の内部にある神経と血管のこと。
神経を抜いた歯は、この歯髄が失われているために乾燥し、割れやすくなります。

近年、幹細胞や成長因子を使って歯髄を再生する研究が進んでおり、国内外で臨床試験が行われています。
成功すれば、神経を抜いた歯に再び血流と弾力性が戻り、割れにくい“生きた歯”としてよみがえることが期待されています。

日本では取り扱える医療機関が少ないですが、私自身もこの歯髄再生療法を扱っている歯科医師の１人です。
この治療は日本では、第二種再生医療として厚生労働省が認可した治療方法であり、研鑽を詰んだあと、認定委員会の許可を得て初めて治療を行うことが可能となります。

再度、血の通った歯にすることで実際に歯の厚みが内側から回復したり、歯が丈夫になることが期待されています。

治療の成功率（幹細胞移植による歯髄組織の復活可能性）も94%と非常に高く、可能であれば選択肢にいれたい治療方法です。

 

4.「力のコントロール」×「歯髄再生」で歯の寿命が変わる

歯髄再生療法は、今すぐ誰でも受けられる治療ではありませんが、近い将来、多くの人の治療選択肢の一つになる可能性が高いです。
その時に重要になるのは、再生した歯をどう守るか＝“力のコントロール”**です。

せっかく歯髄が再生しても、過剰な力がかかれば歯を支える骨が弱ったりして歯の寿命がまた縮んでしまうかもしれません。
逆に、日頃から力のコントロールができていれば、歯髄再生療法の効果は最大限に発揮されます。

つまり、「力のコントロール」＋「歯髄再生」＝歯の寿命を劇的に延ばす最強の組み合わせ」というわけです。

 

5. 今日からできる実践ステップ

• まずは自己分析：「食事中以外で歯を触れていないか」チェック
• 安位（レストポジション）を習慣化：上下の歯を離すことを意識
• ゆっくり噛む習慣：噛むスピードを意識するだけで力が減ります
• かかりつけ歯科で相談：神経を抜いた歯の状態、かみ合わせの癖を確認
• 歯髄再生療法の情報を集める：信頼できる歯科医で最新情報を得る
  
  歯髄再生療法は、今の法律上で行うには、再生したい歯のために親知らずなど不要な歯の幹細胞が必要となります。
  逆に言うと不要な歯を持っていないと、再生したいと思ってもできないのです。
  あらかじめ将来に備えて、親知らずの歯髄細胞をバンキングと言って何年も保管してくれるサービスも世の中にはあります。
  再生療法は行っっていなくても、バンキングサービスだけを取り扱っている歯科医院もあるので主治医に聞いてみましょう。

 

6. まとめ：未来の歯を守る“2本柱”

神経を抜いた歯を長持ちさせるには──
✔️ かかる力を減らすこと（生活習慣の改善）
✔️ 歯髄再生療法で歯の血流・弾力性を取り戻すこと

この2本柱がカギです。

「神経を抜いた歯＝いずれダメになる」という常識は、もう古いかもしれません。
正しい知識と習慣、そして新しい治療の選択肢を知ることで、あなたの歯の未来は大きく変わります。

歯を守るのは、歯医者さんだけではありません。
あなた自身の意識と選択が、歯の寿命を決めるのです

今回ご紹介させて頂いた歯髄再生療法は全国でも極めて少ない歯科医院でしか取り扱えない治療方法です。もしご興味があり、少しでもご自身の歯の寿命を伸ばしたいという方は公式LINEよりお問い合わせください。

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