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顎の骨が少ない?!インプラント治療に迷っている方へ
- 2024.02.08
- 歯並びをきれいにしたい
〜ほとんどのケースは大掛かりな手術不要です〜
インプラント治療は身体に優しい時代へ
こんにちは、歯科医師の会田です。
このメディアでは、生涯に渡ってしっかり噛めることを目的とした、有益な情報を発信しています。今回はここ数年で一気に進化したインプラントの最新治療法についてのお話です。
みなさんはインプラント治療、と聞くとどんなイメージが思い浮かびますか?
自分の歯に近い機能や見た目が叶うという理想的な治療法のイメージとともに、大掛かりな手術が必要、治療期間が長い、高額な費用がかかる・・・そんな大変な治療というイメージをお持ちになる方は多いのではないでしょうか。
でも実はそれは昭和の時代のインプラントの思い込みかもしれません。
令和の時代に入り、インプラント治療は人間の身体の原理原則にのっとった身体に優しい治療法を確立しつつあります。
その全国に広まり始めたばかりの最新治療法を、より多くのインプラント治療に悩む患者様に情報を届けるため今回の記事を書きました。
これまでのインプラント治療
歯科においてインプラント治療が登場してから半世紀以上が経過しました。
インプラント治療を取り巻く環境やインプラントシステム自体も大きな進化を遂げてきました。
インプラントとは、顎の骨に専用のドリルで穴を作り、人工歯根(インプラント体)を埋め込み、上部構造(人工の歯)を装着する治療法のことを言います。
ブリッジ・入れ歯といった従来の治療法とは違い、見ための歯を補うだけでなく、顎の骨に植立した人工歯なので見た目も自然で自分の歯と同じようにしっかり噛めるのが特徴です。
この写真でポイントになるのは、インプラントを支える健康な顎の骨が必要ということです。
インプラントはネジのような構造をしています。歯科医師の間では「インプラントは長いものでなければいけない」「骨が少ない場合は、骨をつくるところから始めなければならない」というのが、インプラント治療の常識でした。
インプラントはネジのような構造をしていますが、長いインプラントが有利であるという検証はありません。
そして、この骨をつくる処置が厄介で、手術回数が複数回に及び、腫れ・痛みが強く(ひどい方は交通事故に遭ったような内出血を生じます)、治療期間が長く、費用も多くかかる原因となっているのです。
以前お会いした患者様は、1本の歯をインプラントで作るのに1年以上の治療期間と100万円以上の費用を見積られて、大変困っておりました。
でも、もうそんな大変な思いをする必要はないのです。
それは昭和時代のインプラントの思い込みによるものです。
長いインプラントが有利であるという検証はありません。人間の身体の原理原則にのっとった身体に優しいインプラント治療は既に確立しつつあります。
骨が少ない
骨が少ないとは、長いインプラントを支える顎の骨の高さや厚みが十分ではないことを指します。
では、なぜ少ない骨の部分に長いインプラントをすると問題が起きるのでしょうか。
上顎の場合、奥歯の上には副鼻腔と言われる鼻の横の空洞が広がっています。
ほとんどの場合、歯はその空洞の直下に生えているのですが、一度歯を抜いてしまうと骨が減ってこの空洞までの距離が短くなります。
インプラントにかかる噛み合わせの力は、インプラントと骨が接している部分から6mm程度の部分で支えています。
つまり、骨が少ないと単純に噛む力を支えることができずインプラントが脱落したりする原因となるのです。
また、骨が少ない時にインプラントと一緒に何かしらの異物を誤ってこの副鼻腔に入れ込んでしまうと感染が生じることがあります。
インプラントを支える骨を確保しつつ、副鼻腔に余計な異物を入れない方法を検討する必要があるのです。
では、下顎はどうでしょう。
下顎の骨の中、深い位置には太い血管・神経のトンネルが通っています。
そこを傷つけてしまうと大出血を引き起こしたり、神経マヒといって感覚の異常を引き起こしてしまいます。
そのため、インプラント処置を検討する時は神経・血管のトンネルまでの距離を把握する必要があります。
通常はもともと歯の根っこが存在していた部位よりだいぶ下の方にこのトンネルはあります。つまり、もともと歯が存在していた所よりはるかに深く異物を埋め込もうとしないことが大事なのです。
昭和から平成のインプラント
先にも述べたように昭和から平成にかけてのインプラントの特徴は、比較的長いインプラントでなければ十分に噛む力に耐えられないという思い込みがありました。
そのため、高さや厚みが足りない時はまずは骨を作るという発想でした。
骨を作るというのは、外科的に骨が再生できるスペースを確保して、骨補填剤(こつほてんざい)と呼ばれる材料を埋める処置になります。
時間と共に骨補填剤は自らの骨に置き換わっていくのです。(一部は置き換わらないものもあります)
ただ、これらの処置はいくつかの問題点を持っていました。
- 腫れ、痛みがかなり出やすい。特に腫れて内出血になることが多い。
- 治癒に時間を要するため治療期間が長期になりやすく、1本の歯を治すのに1年以上かかることもある。
- 手術回数が複数回に及び、都度痛みを伴う。
- 非常に繊細な処置であるため、上手くいかないと振り出しに戻る。
などといった患者様のデメリットです。
骨を作るときには術野が大きくなり、栄養の素となる血液を留めるためにどうしても内出血しやすい環境になります。
しかし、医療者側は「そうしないと治療できないからしょうがない」ということで、デメリットよりも処置による恩恵を伝えていました。
私も過去そのような処置をしながら、「なんでこんな大変な処置をしなければいけないのだろうか」「自分や家族がこの処置を積極的に受けるか」「できれば他に良いやり方を知りたい」といつも考えておりました。
そしてついに上記の問題は解決できる時代になりました。
令和の時代のインプラント
長年の検証を経て、インプラントは長くある必要はないことが分かってきました。
そして長さの代わりに太さを出すことで周囲の骨との接触面積を増やし、治癒を早め安定を早く得ます。
また、テクニック&道具もシンプルで身体に優しいものが開発されました。特殊なドリルを上手く使用することにより、単にインプラントが入るスペースを作るだけでなく周囲の骨を圧縮して強固にしたり、余計な補填材料を使わなくてもドリルの先端に自然と骨を作る技術です。
このような材料・道具・技術の進歩により従来の患者様へ負担をかける処置はほぼ不要となり、
- 腫れ、痛みが圧倒的に少ない。
- 治療期間は長くても3ヶ月
- 手術回数は1回
- 手術はシンプルで確実性が高い
すべて、患者様目線で優しい処置が可能となりました。
もちろん新技術なのでこれらの処置の経過を30,40年と追えているわけではないですが、少なくとも5年以上良好な経過推移が確認できているものばかりなので突拍子もない新技術ではなく十分に信頼できるものと考えています。
ただ、職人気質の歯科医師たちが長年積み上げてきた職人技を放棄して新技術に切り替えることは簡単ではありません。
指導者の先生方も歯科医師の考え方を変えることに最も苦労されているようでした。
ガラケーインプラントからスマホインプラントへ
この変化は例えるならガラケーからスマホへの進化に似ていると思います。
ガラケー時代も毎年のように新機種が発売され、私たちはそれなりに携帯の進化を喜んできましたがガラケーからスマホへの変化はレベルが違いました。
もちろん最初は、「なんだこれ」「スマホって何?」「別にガラケーでも今困っていないけど」など思うところは色々だったと思いますが、いつのまにかスマホ一色になりましたね。それと同じです。
歯科医師が従来の思い込みを捨て、医療者都合のインプラントから真に患者様に優しいインプラントへの切り替えていくことが今さざ波のように生じ始めました。
この波はいずれ大きな波となって、ゆくゆく当たり前になると確信しています。
ただ、どこでもこの新技術が受けられるまでまだ時間はかかるでしょう。歯科医療の新技術は勉強して、訓練して、初めて良い結果に到達できるものなので。
私のところにも
「他院で骨をつくる処置が上手くいかなかった」
「他院で処置したインプラントが抜けてしまったが、なるべく簡単な処置で治したい」
という患者様がいらっしゃいます。最近は、海外の方もお見えになります。世界的にみても患者様目線での優しいインプラントはまだまだ普及していないようです。
インプラントは有用な処置でありながら、過去の治療の大変さがトラウマとなって「もうインプラントなんて絶対したくない!」という声もよく伺います。
そのような方にこそぜひこの令和時代の優しいインプラント治療を知って頂きたいです。
CTを見ながらのご相談など随時承っているので、お気軽に公式LINEよりお問い合わせください。
下記のページもご参考ください。